ガス主任技術者の資格取得について
ガス主任技術者・基礎理論T
ガス主任技術者・基礎理論T・気体の性質について
ガス主任技術者試験の基礎理論・気体の性質についてまとめてみました。参考にして下さい。
物質の物理的状態
物質の三態
全ての物質には、「固体」「液体」「気体」の三つの状態がある。
気体・・・気体分子の運動速度は分子の質量が小さいほど、また温度が高いほど大きい。 気体の特徴としては圧縮できること。 気体を冷却すると気体分子は熱を奪われ、運動エネルギーが減少する結果、分子同士が衝突した際、分子間の引力に負けて集合する。これが液体である。
液体・・・液体が固体に変化することを凝固という。 液体が熱せられると、分子の運動エネルギーが大になり、ある温度に達すると、分子間引力に打ち勝って分子は集団から飛び出していく。これが気化である。
固体・・・固体の構成分子は一定の位置を保っているが、そこで静止しているのではなく、その場所において振動している。固体の温度を高めると振動エネルギーは増大し、各分子間の距離は大きくなる。これが熱膨張である。ある温度において運動エネルギーが分子間力に打ち勝って、分子の固定した配列がくずれる。これが融解である。
三態変化とエネルギー
一つの物質が固体から液体、また液体から気体に変化するとき、必ず熱エネルギーを吸収する。逆に気体から液体、また液体から固体に変化するときにはそれぞれ気化、融解と同量の熱エネルギーを放出する
顕熱 物質の温度を上げるための熱
潜熱 物質の態を変化させるための熱
平衡
性状や状態が、時間が経過しても変化しなくなった場合を平衡の状態という。平衡状態になると他の状態よりも必ず安定している。但し平衡状態は性状や状態に変化がみられなくなっただけで、反応が行われていないのではない。
理想気体の諸性質
ボイルの法則
一定の温度で、気体を圧力P1体積V1の状態から圧力P2体積V2の状態にしたとすると、次の関係式が成り立つ。
P1V1=P2V2=k(kは定数)
一定の温度で気体の圧力と体積は反比例する。
シャルルの法則
圧力が一定のとき、一定の気体の体積は温度が1℃上がる毎に0℃における体積の1/273ずつ増大する。0℃における気体の体積をV0とすると、t℃のときの体積Vは次の関係式で示される。
V=V0(1+T/273) 絶対温度TKをT=273+tと定めるとシャルルの法則は
V=V0×T/273 気体の体積Vは絶対温度に比例する
ボイル・シャルルの法則
一定量の気体の体積は圧力に反比例し、絶対温度に比例する。
PV/T=R(Rは定数)
気体の状態方程式・アボガドロの法則
気体は、同じ温度、同じ圧力のとき同じ体積の中に同数の分子が存在する。
0℃、標準大気圧101.325kPaで22.4Lの体積を持つ気体は、どんな種類であっても1mol(6×1023個)の気体分子をもつ。
ボイル・シャルルの法則において、P=101.325kPa、V=22.4L、T=273Kを代入すると
101.325×22.4/273=8.314{J/(mol・K)} =R
Rをガス定数という。
n molの気体の圧力P、体積V、温度Tの関係を表す式 PV=nRT を気体の状態方程式という。また、この式を満足する気体を理想気体という。
常温常圧のH2、O2、N2などは理想気体としてよいが、 一般に温度が低いか、圧力が高くなると理想気体として取り扱いができなくなる。
混合気体の性質
異なる気体を混合したとき、 容積Vの容器に、気体A(nAモル)と気体B(nBモル)があり、温度はともにTKであるとする。Aの分圧をpA、Bの分圧をpBとすると
分圧・・・一つの成分が単独に全体積Vを占めると考えた場合の圧力
pAV=nART
pBV=nBRT
両辺を足すと(pA+pB)V=(nA+nB)RT
この式は混合気体(全モル数nA+nB)では、気体の状態方程式からは混合気体全体の圧力PはpA+pBであることを示す。 すなわち、全圧は各成分気体の分圧の和であるといえる。 これをドルトン分圧の法則という。
実在気体の性質
気体の構造及び分子運動
気体の分子運動論では、理想気体を次の条件を満たす気体とする。
@衝突を除いては分子間の力は無視できる。
A衝突が分子間で起きる場合、完全弾性衝突をし、運動量保存則とエネルギー保存則が成立する。
B分子は気体の占める体積に比較して無視できるほど小さい。
体積が一定であるとすると
分子の速度が大きくなれば圧力が高くなる。
温度が高くなると分子の運動は活発になる。
(1molの場合 PV=RT=1/3Nmu2
N:分子の個数、m:分子の質量、u2:分子速度の自乗平均)
温度が高くなると分子の速度が大きくなり、圧力が高くなる。 つまり、気体を熱するとその熱エネルギーは気体分子の速度の増加に使われる。 He、Ar、Neなどのような単原子分子は並進運動だけをおこなっているが、N2、H2、CH4などの複数の原子が結合している多原子分子はこの他に振動運動と回転運動をおこなっている。
多原子分子を熱すると熱エネルギーが並進運動に使われるだけでなく、振動運動、回転運動にも使われるので、多原子分子は単原子分子に比較して温度を1℃上げるのに必要なモル当たりの熱量が大きくなる。
実在気体と分子間引力
分子の中の電子の配置が分子の構造上又は元素の性質上片寄っていることや、一つの分子が近くの分子の電子配置をゆがませていることなどが、複雑に働いて生じる力。 気体が液化するのを始め実在気体に特有な性質の原因。
分子間の距離が小さくなると急増する。
原子のゆがみが分子間引力の原因となっていることから、分子の中の電子の数が多いつまり分子が大きければ大きいほど引力も強くなる。
また分子構造が非対称で元来電子配置が片寄っているH2OやNH3も引力が大きい。 分子間引力が大きければ、気体から凝縮して液体になりやすく沸点が高くなる。
臨界現象
飽和蒸気圧・・温度に固有で気相、液相、二相共存のときの圧力
臨界点・・・・二相領域を経ずすぐに液体になる点。臨界点での温度を臨界温度、圧力を臨界圧力という。
臨界温度以上ではどんなに圧力を上げても気体を液化することができない。 臨界圧は臨界温度で液化するのに必要な最小の圧力である。 CO2、NH3、SO2などは臨界温度が高いので常温で圧力を加えるだけで液化することができる。H2、N2、O2などは常温で圧力を加えるだけでは液化しない。 メタンの臨界温度は−82.1℃であるので、天然ガスを液化するにはこの温度以下にする必要がある。
ファン・デル・ワールスの状態式
分子間引力と気体の体積を考慮して理想気体の状態式を補正する式
(P+n2a/V2)(V−nb)=nRT
a,bをファン・デル・ワールス定数という
対応状態の原理
実際の気体の温度T、圧力P、体積Vをそれぞれ臨界温度Tc、臨界圧力Pc、臨界体積Vcで割った換算温度Tr、換算圧力Pr、換算体積Vrが各物質で等しい場合、対応原理にあるという。
このような対応状態にある気体が、気体の種類にかかわらずTr、Pr、Vrにかんして同じ性質をしめすことを対応状態の原理という。
気体の圧縮係数
一般には、実在気体を取り扱う場合、補正係数を用いてPV=zRT(1molについて) なる式を使用する。この式のzを圧縮係数という。
zは対応原理によって換算温度Tr、換算圧力Prの関数であることがあきらかにされている。z、換算温度Tr、換算圧力Prの関係は気体の種類に関係なく適用できる。
温度が高くなると気体の持っている運動エネルギーは分子間力に比較して大きく、全体として引力の影響は小さくなり理想気体に(z≒1)近くなる。
気体の諸性質
熱容量
熱容量・・・一定量の気体の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量。 圧力一定の場合の熱容量である定圧比熱Cpと容積一定の場合の定容比熱Cvには、理想気体の場合次の関係式が成り立つ。
Cp=Cv+R
CpがCvより大きいのは圧力一定という条件では外部に仕事をするためである。 CpとCvの比γ(Cp/Cv)を断熱係数(断熱指数)といい、この値は常に1より大きい。
多原子気体になると並進運動だけでなく、分子内の原子間の振動運動や分子の回転運動にも熱エネルギーが使われるので、Cvが大きくなり、γは1に近づく。 一般に熱容量は温度の関数として変化する。
熱伝導率
熱伝導 熱が温度の高い所から低いところへ移動する事。
熱伝導率 熱の伝わりやすさ
面積A、距離lの場合、伝熱量Q〔W〕は
Q=λ×A×(T1−T2)÷λ:熱伝導率、T1:高温側温度、:T2:低温側温度
気体は、液体や固体にくらべて、熱伝導率が極めて小さく断熱効果が大きい。 気体では圧力が増すと熱伝導率は増加する。
粘度
液体や気体が流動するとき各部分が互いに抵抗しあう性質を粘性といい、その程度を粘度という。
気体の粘度は液体の粘度にくらべて小さく、温度とともに増加し、圧力によってはほとんど変わらない。
溶解度
溶解 液体中に気体、液体、固体が溶けて均一な状態となること
溶質 溶解する物質
溶媒 溶解させる物質
ヘンリーの法則
溶解度が小さい場合、一定の温度で溶解する気体の質量は気体の圧力に比例する。
P=K・x
P:気体の圧力
K:ヘンリー定数
x:気体(溶質)のモル分率
Kは気体と溶媒の組合わせと温度によって決まる定数。 一般に気体の溶解度は温度の上昇とともに減少するので、Kは増加することになる。
溶解度の大きいガスは一般にヘンリーの法則に従わない。 NH3、Cl2、SO2の水に対する溶解度はヘンリーの法則に従わない。
相の変化
蒸気圧と沸点
蒸発 気体分子が液体の表面から飛び出して気体になること
凝縮 気体分子が液体の表面に達し液体になること
蒸気圧 蒸発速度と凝縮速度が等しい状態において蒸気の示す圧力
蒸気圧は温度が上がるとともに上昇し、その値は各物質に固有の値を示す。一定の圧力下で液体を熱すると蒸気圧が外界の圧力に等しくなるところで気泡が発生し蒸発がおこる。この現象を沸騰と呼び温度を沸点という。沸騰が続いている間は温度が一定に保たれている。このとき液体が吸収する熱量を蒸発熱という。
ラウールの法則
希薄溶液の蒸気圧降下は不揮発性の溶質の種類に無関係で、溶質のモル分率に比例する。
P0−P/P0=n/N+n
P0:純溶媒の蒸気圧
P:溶液の蒸気圧
N:溶媒のモル数
n:溶質のモル数
